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善導和尚とおわしけれ

高僧和讃・善導讃(1) 17

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 大心海より化してこそ
 善導和尚とおわしけれ
 末代濁世のためにとて
 十方諸仏に証をこう

 第五祖・善導大師(613-681)は中国浄土教思想の大成者で、観経疏を著した。この書について善導は自ら、某(それがし)、いまこの観経の要義を出して、古今を楷定せんと欲す、と述べている。善導まで観経は観想の念仏を説く聖者のための教えとされてきた。しかし、観経の主人公である韋提希夫人は自分が生んだ息子に夫王を殺され失意に沈む、わたしたちと同じただの実業の凡夫です。ただの凡夫が救われていく道を説いているのが観経であると教えたのは善導が初めてだった。善及

 南無阿弥陀仏
# by zenkyu3 | 2024-03-08 05:27 | 高僧和讃のこころ | Comments(0)

(信心)このまま

香樹院語録 七十

 新井の妙意、ご病中に参り、申し上げて云うよう。いよいよこれなりで、助けられるのでござりますか。師の曰く。そうじゃ、そうじゃ。勧めるものもその処をよく教え、聴聞するものもその処をよく聞かねばならぬことじゃ。

 新井の妙意、この人は僧であろうか。在家であろうか。気づくことがあった。病中の師を待てずに、押して尋ねて来た。どうしても聞きたいことがある。もしかしたら二度と聞けなくなるかも知れない。妙意いわく、いよいよこれなりで、助けられるのでござりますか、と。これが妙意の信心の表明で、そうじゃ、そうじゃ、と病中の徳龍師も大いに喜んだ。聞く方も命懸けなら、応える方も命懸け。実の親子にもまさる師弟の姿である。善及

 南無阿弥陀仏

 ※題の前の「信心」はわたしがつけました。どのようにして人は信心を取るかがわかるからです。

 ※これまで登場した信心の人(数字は章)
 5−尾張神尾のおこう 15−徳龍師 17−綾五郎 27−秀存師 28−越後の貞信尼 45−栗尾太助 46−越後の老婆 48−鎌掛村のおせき 70−新井の妙意

# by zenkyu3 | 2024-03-07 05:25 | 香樹院語録を読む | Comments(0)

香樹院語録 六九

 江戸淺草御坊にて、安心のことにつき、僧侶より、いずれが正しきや、正しからざるや、をお尋ね申し上げたれば、仰せに。褄の上り下りは着物着た上のことじゃ。裸体の乞食にその議論はないぞ、との御一言にて、みなみな感じまいらせぬ。

 聞き手は僧侶です。理屈をあげつらう前に、自ら信を取れと、徳龍師は厳しく叱責した。みなみな感じまいらせぬ。誰も、なにも言えずに、黙り込んでしまった。題に、信ずることは論ずることにあらず、とある。理屈を言っていられる間は心に余裕がある。信じるは命懸けでしょう。善及

 南無阿弥陀仏

# by zenkyu3 | 2024-03-06 05:08 | 香樹院語録を読む | Comments(0)

若き時、老いたる時

香樹院語録 六八

 仏法は若き時求むべし。若き木は曲れるも、正直にしやすし。年老いぬれば、耳目身体、意に任せがたく、名聞仁義の心はなおり難し。深く思案すべし。

 正像末和讃より。九十五種世をけがす 唯仏一道きよくます 菩提に出到してのみぞ 火宅の利益は自然なる、と。九十五種とは仏教以外の、世に流行る思想・哲学のことです。外道は生き方を教える。一方、唯仏一道きよくます。仏教は死に方を教える。性慾、金欲、名誉欲を満たすことを価値とする生き方を肯定するから、九十五種世をけがす、という。外道は生き方を知って死に方を知らない。しかし、世の中は物質的な生活に価値を置く人ばかりではない。これから人生を生きようという若い人たちの中には、人生の意味を考え、悔いのない人生を送りたいと願う人もいるでしょう。徳龍師いわく、仏法は若き時求むべし、と。そういう人たちのために仏教は生き方ではなく死に方を教えることができる。どんな死に方かと言えば、いつ死んでも必ず仏になる。そういう死に方です。菩提に出到してのみぞ、火宅の利益は自然なる。死に方は生き方です。唯仏一道きよくます。静かなる涅槃界(死)に立てば、どんな境遇(生)も意味のあるものになる。深く思案すべし、と。善及

 南無阿弥陀仏

# by zenkyu3 | 2024-03-05 05:16 | 香樹院語録を読む | Comments(0)