讃阿弥陀仏偈和讃(原文)

『讃阿弥陀仏偈和讃』全四十八首
     
南無阿弥陀仏

①仏の成道一首
1
弥陀成仏のこのかたは
 いまに十劫をへたまえり
 法身の光輪きわもなく
 世の盲冥をてらすなり

②如来の荘厳十二首
2
智慧の光明はかりなし
 有量の諸相ことごとく
 光暁かぶらぬものはなし
 真実明に帰命せよ
3
解脱の光輪きわもなし
 光触かぶるものはみな
 有無をはなるとのべたまう
 平等覚に帰命せよ
4
光雲無碍如虚空
 一切の有碍にさわりなし
 光沢かぶらぬものぞなき
 難思議を帰命せよ
5
清浄光明ならびなし
 遇斯光のゆえなれば
 一切の業繫ものぞこりぬ
 畢竟依を帰命せよ
6
仏光照曜最第一
 光炎王仏となづけたり
 三塗の黒闇ひらくなり
 大応供を帰命せよ
7
道光明朗超絶せり
 清浄光仏ともうすなり
 ひとたび光照かぶるもの
 業垢をのぞき解脱をう
8
慈光はるかにかぶらしめ
 ひかりのいたるところには
 法喜をうとぞのべたまう
 大安慰を帰命せよ
9
無明の闇を破するゆえ
 智慧光仏となづけたり
 一切諸仏三乗衆
 ともに嘆誉したまえり
10
光明てらしてたえざれば
 不断光仏となづけたり
 聞光力のゆえなれば
 心不断にて往生す
11
仏光測量なきゆえに
 難思光仏となづけたり
 諸仏は往生嘆じつつ
 弥陀の功徳を称せしむ
12
神光の離相をとかざれば
 無称光仏となづけたり
 因光成仏のひかりをば
 諸仏の嘆ずるところなり
13
光明月日に勝過して
 超日月光となづけたり
 釈迦嘆じてなおつきず
 無等等を帰命せよ

③聖衆の荘厳十一首
14
弥陀初会の聖衆は
 算数のおよぶことぞなき
 浄土をねがわんひとはみな
 広大会を帰命せよ
15
安楽無量の大菩薩
 一生補処にいたるなり
 普賢の徳に帰してこそ
 穢国にかならず化するなれ
16
十方衆生のためにとて
 如来の法蔵あつめてぞ
 本願弘誓に帰せしむる
 大心海を帰命せよ
17
観音勢至もろともに
 慈光世界を照曜し
 有縁を度してしばらくも
 休息あることなかりけり
18
安楽浄土にいたるひと
 五濁悪世にかえりては
 釈迦牟尼仏のごとくにて
 利益衆生はきわもなし
19
神力自在なることは
 測量すべきことぞなき
 不思議の徳をあつめたり
 無上尊を帰命せよ
20
安楽声聞菩薩衆
 人天智慧ほがらかに
 身相荘厳みなおなじ
 他方に順じて名をつらぬ
21
顔容端正たぐいなし
 精微妙躯非人天
 虚無之身無極体
 平等力を帰命せよ
22
安楽国をねがうひと
 正定聚にこそ住すなれ
 邪定不定聚くにになし
 諸仏讃嘆したまえり
23
十方諸有の衆生は
 阿弥陀至徳の御名をきき
 真実信心いたりなば
 おおきに所聞を慶喜せん
24
若不生者のちかいゆえ
 信楽まことにときいたり
 一念慶喜するひとは
 往生かならずさだまりぬ

④国土の荘厳二十四首
25
安楽仏土の依正は
 法蔵願力のなせるなり
 天上天下にたぐいなし
 大心力を帰命せよ
26
安楽国土の荘厳は
 釈迦無碍のみことにて
 とくともつきじとのべたもう
 無称仏を帰命せよ
27
已今当の往生は
 この土の衆生のみならず
 十方仏土よりきたる
 無量無数不可計なり
28
阿弥陀仏の御名をきき
 歓喜讃仰せしむれば
 功徳の宝を具足して
 一念大利無上なり
29
たとい大千世界に
 みてらん火をもすぎゆきて
 仏の御名をきくひとは
 ながく不退にかなうなり
30
神力無極の阿弥陀は
 無量の諸仏ほめたまう
 東方恒沙の仏国より
 無数の菩薩ゆきたまう
31
自余の九方の仏国も
 菩薩の往覲みなおなじ
 釈迦牟尼如来偈をときて
 無量の功徳をほめたまう
32
十方の無量菩薩衆
 徳本うえんためにとて
 恭敬をいたし歌嘆す
 みなひと婆伽婆を帰命せよ
33
七宝講堂道場樹
 方便化身の浄土なり
 十方来生きわもなし
 講堂道場礼すべし
34
妙土広大超数限
 本願荘厳よりおこる
 清浄大摂受に
 稽首帰命せしむべし
35
自利利他円満して
 帰命方便巧荘厳
 こころもことばもたえたれば
 不可思議尊を帰命せよ
36
神力本願及満足
 明了堅固究竟願
 慈悲方便不思議なり
 真無量を帰命せよ
37
宝林宝樹微妙音
 自然清和の伎楽にて
 哀婉雅亮すぐれたり
 清浄楽を帰命せよ
38
七宝樹林くににみつ
 光曜たがいにかがやけり
 華菓枝葉またおなじ
 本願功徳聚を帰命せよ
39
清風宝樹をふくときは
 いつつの音声いだしつつ
 宮商和して自然なり
 清浄勲を礼すべし
40
一一のはなのなかよりは
 三十六百千億の
 光明てらしてほがらかに
 いたらぬところはさらになし
41
一一のはなのなかよりは
 三十六百千億の
 仏身もひかりもひとしくて
 相好金山のごとくなり
42
相好ごとに百千の
 ひかりを十方にはなちてぞ
 つねに妙法ときひろめ
 衆生を仏道にいらしむる
43
七宝の宝池いさぎよく
 八功徳水みちみてり
 無漏の依果不思議なり
 功徳蔵を帰命せよ
44
三塗苦難ながくとじ
 但有自然快楽音
 このゆえ安楽となづけたり
 無極尊を帰命せよ
45
十方三世の無量慧
 おなじく一如に乗じてぞ
 二智円満道平等
 摂化随縁不思議なり
46
弥陀の浄土に帰しぬれば
 すなわち諸仏に帰するなり
 一心をもちて一仏を
 ほむるは無碍人をほむるなり
47
信心歓喜慶所聞
 乃曁一念至心者
 南無不可思議光仏
 頭面に礼したてまつれ
48
仏慧功徳をほめしめて
 十方の有縁にきかしめん
 信心すでにえんひとは
 つねに仏恩報ずべし
 
已上四十八首 愚禿親鸞作
by zenkyu3 | 2018-08-11 06:01 | 仏からの道・資料集 | Comments(0)