一九五、仰せられ候。
  如来さまから一大事になる心をおあたえ下さると、
  我が心が一大事になる。
  その心でなけねば、仕おおせずばおくまいの心は起らぬ。
  仕おおせずばおくまいの心が起れば、
  仕遂げぬさきに死んでもむだ事にはならぬ。

  (香樹院語録)

 どのようなお話か。一つは「如来さまから一大事になる心をおあたえ下さる」。二つは「仕遂げぬさきに死んでもむだ事にはならぬ」。まず一つ目。仏が与えるのは仏の心です。仏の心は涅槃ですから、煩悩がなくなった心の状態がどんなものかを知る。これで煩悩を洗い落とす仏への道、仏道が成り立つ。つまり、仏に成る道を始めて歩み出す。これは「即得往生」(十八願成就)の話です。

 二つ目は、仏に成る道の途中で死んでも、仏が仏になる修行をするのであるから、仏に成れないということはない。そのようなことが書いてある。これは「必至滅度」(十一願成就)の話です。信の一念に仏心をいただく。心はすでに仏であるからいつ死んでも成仏である。これを「現生不退」といいます。信に始めがあり終わりがある。

 南無阿弥陀仏

 柏原祐義・禿義峯編「香樹院語録」


# by zenkyu3 | 2017-05-28 06:26 | 香樹院語録を読む | Comments(0)

活仏を一体御造り申した

  一〇八、或る時に仰せに。
  生涯の間に一人信者が出来たら、
  活仏を一体御造り申したと同じ事じゃで、
  教導の本分もたち、
  仏祖えの申しわけも充分に立つ事じゃぞ。

  (香樹院語録)

 竹内先生からはなにを教えていただいたというより、信心を正しくいただいた"生き仏"を目の当たりに見たというだけで十分でした。先生からは「念仏者が生まれた」と喜んでいただきましたが、先生に認められたことより、先生に喜んでいただいたことの方が嬉しかった。実なき世間に信仰の光を見つけられたことは尊い人生でした。竹内先生にお会いさせてくださった仏の御はからいに感謝いたします。

 南無阿弥陀仏

 柏原祐義・禿義峯編「香樹院語録」


# by zenkyu3 | 2017-05-27 06:04 | 香樹院語録を読む | Comments(0)

めでたく往生せり

  四六、越後大地震の時、
  かねて師の御教化を受けし老婆、
  鍋を持ちて門口を出でんとする時、
  家倒れて其の下になり、
  いよいよ今かいなと云いて死す。
  師是れを聞き給い、芽出度往生せり、
  と仰せありき。

  (香樹院語録)

 仏教は出家であれ在家であれ世間を捨てる。竹内先生は「仏法を世渡りの杖にしている」といつも弟子を叱っておられた。信心の人は身はまだ世間にあるが心は世間を捨てている。それを「即得往生」という。身はまだ世間にあるから「往生」とはいわない。往生は即ち成仏、修行の終わりであり、完成であるから「めでたい」という。死んでどこかに生まれて、なにかをしようという話ではない。

 南無阿弥陀仏

 柏原祐義・禿義峯編「香樹院語録」


# by zenkyu3 | 2017-05-26 06:57 | 香樹院語録を読む | Comments(5)

香樹院師の遺教に接し

  香樹院師曰く。
  きく御本願も不思議なれば、
  かかる御法きく身になりしは、なお不思議なり。
  
  (前略)たとえ「信ずる」という自証的なものはないながらも、
  香樹院師の遺教に接し、これこそ真宗の活きたおみのりであり、
  祖師の獲得、歓喜された体験内容そのままの伝統であると
  知らされたことは今生またとなき歓びであった。

  ともかくもこの私に聞法の道筋は明瞭に示された。
  その後香樹院師の法語をくり返しくり返しするあいだに、
  ぼうぼうとして大洋を望むが如き祖師の信心獲得という体験界の風光も
  おのずからこの聾せる耳に聞こえるようになった。
  香樹院師の指南がなかったならば、
  祖師のいたられた境地は全く窺い知らぬままで終わったことであろう。
  その香樹院師の尊き御指南の一がこの法語である。

  (櫛谷宗則編・松原致遠著「わが名を称えよ」柏樹社1989年刊より)

 松原致遠師の「わが名を称えよ」は現在絶版となっていますが古書としては手に入るようです。二十の半ば、内山興正老師の著書に出会い仏教を学び始めましたが、行としての禅にはついに縁づかず、十年ののち機が熟したのでしょうか、この本に出会って念仏をしようと決心しました。この本の編者である櫛谷宗則師は内山老師の直弟子です。

 さて、それから二十七年、真宗大谷派・念佛寺さんのホームページにたまたま「香樹院語録」を見つけました。思いもかけないことに今では香樹院語録を拝読する毎日です。読んでも読んでも飽きるということがありません。松原致遠師の「わが名を称えよ」で香樹院語録を知り、竹内先生から加藤智学編集の「香樹院講師語録」をいただくこともありましたが、この語録を拝読するには今が一番よかったということなのでしょう。ありがたいことです。

 南無阿弥陀仏


※2016-11-15より通算166回


# by zenkyu3 | 2017-05-25 06:52 | 松原致遠の文章 | Comments(0)