2017年 07月 27日 ( 1 )

不思議

  二九六、安政四年十二月二十七日、
  秀存師、師の病床をたづねられたれば。
  仰せに。誰れにも人に尋ねずに、唯だまって念仏を申しなされ。
  存曰く。左様ならば、ただ御不思議におまかせ申して、
  念仏を称える計りで御座りますか。
  師曰く。不思議と云えば、
  今まで命ながらえたのがはや不思議じゃ程に。

  (香樹院語録) 

 秀存師は香樹院師の直弟子。死の床にある師に対するに、師の亡き後、誰かを師にしなくてはならないかと尋ねた。まだ自分に自信がなかった。師は弟子に対するに「唯だまって念仏を申しなされ」と。すでにあなたは信心の人、智慧が涅槃へと導いてくれるのだから、なんで新しい師が必要かと。
 
 すると秀存師、「左様ならば、ただ御不思議におまかせ申して、念仏を称える計りで御座りますか」と、少しばかりくどい。香樹院師、聞き流して「今まで命ながらえたのがはや不思議じゃ程に」と。信心の智慧を与えて、ここまでお育てくだされた仏のお慈悲がありがたいと、死を前に仏恩報謝のお気持ちを述べられた。

 南無阿弥陀仏

 柏原祐義・禿義峯編「香樹院語録」 


by zenkyu3 | 2017-07-27 06:04 | 香樹院語録を読む | Comments(0)