人並みの事、人並みでない事

  六六、人なみの事を人なみに思わぬは、火事、地震、困窮。
  人並みでない事を人並みに思うは、後生なり。
  何故なれば、もとが後生の大事が、
  しみじみと身に引き受けられぬ故のこと也。

  (香樹院語録)

 火事、地震、困窮は世渡りである。どう生きるかの苦労である。世間の人の一大事はここまでである。どんな世渡りであれ、生老病死、みな死で終わる一生である。しかし、後生が一大事になれば、死で終わる世渡りのことなど大事ではない。何色の服を掛けようが服掛けるだけの体はみな宿業の身である。生きているときこそ、幸せだ不幸だと騒いでいるが、死ぬときは、そんなことはみな忘れて、死ぬことだけで頭が一杯だ。死んで行く先が地獄しかない事実に直面して、なんのための生涯だったかと嘆いても間に合わない。

 南無阿弥陀仏

 柏原祐義・禿義峯編「香樹院語録」


by zenkyu3 | 2017-06-07 11:29 | 香樹院語録を読む | Comments(0)