大慈胸に薫ず

  八〇、「掬水月在手。弄花香満衣」
  (水をくんで月手にあり、花をもてあそんで香り衣に満つ)

  水を両手に、そっくりと汲み上げて見れば、
  忽ち天上の月が手の中へ影をうつし、
  まてしばしなしに、宿り給う。
  今も我々が此胸の中へ、御慈悲の影を宿して下さるるは、
  ただ御慈悲に、すなおに向うばかり。

  後生を一大事にせよせよと仰せらるるは、
  我が胸を掻き回して、追い立てかえす事ではない。
  いよいよ一大事になれば、仕様模様のない未来、
  ただ御教化御慈悲に、真直に向うより外はない。

  また花をもてあそべば、自から香りが衣裳にとどまる。
  是れを大慈胸に薫ずると云う。

  (香樹院語録)   

 仏のお心がわたしの心に入ってくださった。これはわたしの妄想ではない。お慈悲には必ず智慧がともなっている。智慧とは心が見える。自分には見えなかった心を見えるようにしてくださった。自分がわからずにみな迷ってきた。見えるようにして救ってくださるので「智慧光仏」と申し上げる。

 南無阿弥陀仏

 柏原祐義・禿義峯編「香樹院語録」


by zenkyu3 | 2017-05-02 18:04 | 香樹院語録を読む | Comments(0)