うその念仏

  三七、江州草津の木屋にて、女按摩、
  香樹院師を按摩しながら、念仏したるに、
  汝よく念仏せりとの仰せなりしかば、按摩はじ入りて、
  うその念仏ばかり申して居りますと答う。
  師の仰せに、おれも、うその念仏ばかりして居る。
  こちらはうそでも、弥陀のまことで御助けじゃぞや。 と。
  女倒れて悲喜の涙に咽びぬ。
 
  (香樹院語録) 

 自分の心を"うそ"という。仏のお心を"まこと"という。はっきりしている。うそがなにを言おうとうそ。うそがなにを考えようとうそ。うそとうそが跋扈する世間もうそ。うそからまことは出てこない。はっきりしている。うそのわたしが称える念仏はうそでも、称えさせようのお心はまこと。念仏で救われるのではない。称えさせようのお心で救われる。

 南無阿弥陀仏

 柏原祐義・禿義峯編「香樹院語録」


Commented by ルネッサンス at 2017-04-28 21:57 x
香樹院師語録は分かりやすくて私好みですが、この37は特に気に入りました。自力の念仏だと分かっていても ”きれいな念仏にしよう” などと考え自力の念仏で仏の心を分かろうとしてしまいます、称えさせようのお心に触れているのに自力の念仏に満足しようとしてしまいます。
うその念仏しか出てきませんが私にはこれしかない。女按摩も私と同じような気持ちだったかもしれません。37は女按摩とのさりげないやり取りが素敵でした。
南無阿弥陀仏
Commented by zenkyu3 at 2017-04-29 09:15
> ルネッサンスさん
香樹院語録は歎異抄より奥行きが広い。これだけの法語をよく集めたものだと感心します。竹内先生の崇信教会の初代主幹が加藤智学先生でしたので、加藤智学編集の「香樹院講師語録」を竹内先生からいただきました。竹内先生はよく本をくださいましたが「勉強しなさい」とは言わないんですね。「二冊あるので」と言ってくれるのです。全休
by zenkyu3 | 2017-04-28 10:21 | 香樹院語録を読む | Comments(2)